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本研究では、「なぜ難治の病気は治りにくいのか?」という問いを追っています。ここまでに見えてきた原因の一つは、全身に投与された薬剤が、届いてほしい病巣に届いていないため、という仮説です。届かない原因は、病気の原因となる細胞の周囲を取り囲む、異常な線維組織と血管の構築です。
この仮説をさらに検証するために、工学による新医療技術、ナノ薬剤送達システム(ナノDDS)の活用を視野に入れ、がんや肺高血圧症など難治疾患の新たな治療法開拓を目指した研究を進めています。
薬剤が病巣に届く過程で重要な要因である、病巣の線維組織・血管などの構築と機能の関連の解明を、ヒト病理標本で検証しながら、ナノデバイス・三次元培養法・マイクロ流体デバイスなど最新技術を応用し新規の生体外実験系の構築を行う方法で進めています。これを通じて、新規効果の薬剤やその検証技術の開発を進めています。
https://sites.google.com/view/kanolab-ph-biol-gsisehs-ou/home
難治性がんにおいて、病巣組織の様々な構成要素が薬剤送達の阻害要因となる
三次元培養法を用いた線維化組織のモデル(上)と、同モデルを利用した細胞外基質構築の解析(右)