検索例
日本のほとんどの地方では、人口減少が進み、経済は縮小し、財政は逼迫する傾向にある。こうしたなか自治体は、少子化・高齢化対策、気候変動や地震に起因する災害対策、老朽化するインフラの維持・管理といったさまざまな課題への対応に迫られている。一方、こうした地域の課題に関しては、公共サービスを受ける住民が不便を感じることはもちろん、多くの場合、現場でサービスの供給を担う自治体職員等の職業人も、気づきや自覚、危機感や問題意識を持っている。ただ、こうした思いは、確かに熱心に職務に取り組む動機にはなっていようが、その職員等が異動するなどしたときには、個人の思いが途切れるだけでなく、自治体全体としても課題が未解決のままに終わることにもなりかねない。
こうした思いを持続可能な改善方策とするためには、最も現場を知る職員等が適切に現状分析を行って問題点を明確にし、自治体の人事・組織といった制度を理解して、担い手を選ばない仕組みとして解決策を提言することが有効である。
2008年創設の大学院社会文化学研究科地域公共政策コース(現地域法政学位プログラム)では、授業で論理的思考力を養成し、専門知識を伝授する他、職業人が仕事を終えた夜間に丁寧な論文指導を行うことによって、職員等の思いをこうした仕組み作りの提言に結びつけるリカレント教育を行っている。この教育を通じ、例えば、地方公務員の任期付職員制度、中小規模自治体の職員数削減といった問題について自治体職員の院生が論文を作成し、冊子に掲載するなど公表してきた。
こうして生まれた提言は、岡山のみならず全国に共通する地域の課題を解決するヒントとなろう。
担当者