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近年、胆道・膵臓領域における超音波内視鏡(EUS)を用いた診断および治療は急速に普及している。海外では、EUSを用いた低侵襲治療として、低悪性度の膵腫瘍や膵嚢胞性病変に対し、EUSガイド下に穿刺を行い腫瘍内への薬液注入治療や、ラジオ波による焼灼治療が実施されており、一定の治療効果が報告されている。
岡山大学病院では、小径かつ低悪性度の膵神経内分泌腫瘍(PNET)に対し、国内で初めてEUSガイド下薬液注入(エタノール)治療を実施し、その治療効果を報告してきた(UMIN:000018843)。さらに近年では、EUSガイド下ラジオ波焼灼術も導入し、その有効性を報告している(jRCTs062230014)。PNETに対する標準治療は膵切除術であるが、EUSを用いた低侵襲治療により十分な治療効果が得られれば、膵切除術の回避が可能となり、患者に対する身体的侵襲を大幅に軽減できる。また、膵臓はインスリン分泌を担う臓器であるため、膵切除後に生じ得る糖尿病の発症や増悪を抑制できる可能性がある。2026年に改訂された膵・消化管神経内分泌腫瘍臨床ガイドラインにおいて、上述の内視鏡的アブレーション治療も小径かつ低悪性度のPNETに対する治療選択肢の1つとして提示された。
今後、膵疾患に対するEUSを用いた低侵襲治療は、さらなる普及が見込まれる。そのため、手技を安全かつ安定して施行するための技術開発が不可欠であり、薬液注入用針、注入デバイス、焼灼プロトコールなどの最適化が求められる。また、治療後の再発を含めた長期予後に関する報告は十分とは言えず、今後は厳重な経過観察を行いながら、長期成績の評価を継続していく予定である。
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