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近年、胆道・膵臓領域における超音波内視鏡(EUS)による診断・治療の普及はめざましく、海外ではEUSを用いた低侵襲治療として、低悪性度の膵腫瘍や膵嚢胞性病変に対してEUSガイド下に穿刺を行い薬物注入が行われており、一定の治療効果が報告されている。
岡山大学病院では早期の膵神経内分泌腫瘍(PNET)に対し、国内で初めてEUSガイド下に薬物注入治療を行い、治療効果を得てきた(UMIN:000018843)。PNETの基本治療は膵切除術であるが、EUSを用いた低侵襲治療である本治療により治療効果が認められれば、膵切除術が回避でき、患者の身体への侵襲度が格段に低くなる。また、膵臓はインスリンを分泌していることから、膵切除後に起こり得る糖尿病も抑制できる。
今後、膵疾患におけるEUSを用いた低侵襲治療は普及してくると予測される。手技を安全に施行するための技術(薬液注入用針、注入用機器、注入方法など)の開発が必要である。
また、治療後の再発を含めた長期予後に関する十分な報告はなく、厳重に経過観察を行っていく。