背景・目的
我が国において排出される温室効果ガスの90%以上が二酸化炭素であり,現在,その削減のために省エネや燃料転換・代替エネルギー技術の開発がなされている。しかし,省エネや燃料転換・代替エネルギーの技術開発には時間を要し,その間にも二酸化炭素の濃度は増加している。そこで,排出された二酸化炭素を直接処分する温暖化防止の切り札として考え出されたのが地下貯留技術である。しかし,この技術を実現させるには現段階では高コストであることや二酸化炭素の圧入サイトが限定されていること,また長期的な挙動を理解する上でも,二酸化炭素の圧入時における帯水層内での地下水流動への影響の把握やモニタリング技術の開発など,現状として本技術の確立のためには解決すべき課題が多い。そこで,本研究では圧入サイトの拡大とコスト削減のために海面下帯水層を対象とし,飽和状態の砂層に気体として圧入可能な二酸化炭素の量とその溶解挙動を計測し,海面下帯水層への貯留可能量の推定方法を検討することを目的とした。
概要
一次元カラム圧入試験により,帯水層中への二酸化炭素の溶解形態についてモデル化し,数種類の砂試料を用いて吸着水中に溶解する二酸化炭素量について検討し,実験値から求めた吸着水中の二酸化炭素溶存量と理論値から求めた吸着水中の二酸化炭素溶存量が整合することを確認している。
効果
帯水層を構成している地盤の水分特性曲線と二酸化炭素の溶解度を用いて二酸化炭素可能貯留量が算定できる。
二酸化炭素隔離の概念図