取組概要
岡山県によれば、令和元年度の食品ロス発生量は約12.7万tと推定されており、うち事業系食品ロスが8.9万t(74.2%)を占め、その利活用の推進・発生抑制が課題となっている。本活動は、岡山における事業系食品ロス削減のネットワーク形成、食品ロスの需給マッチングに関する円滑な情報流通、データサイエンスを活用した食品ロス発生抑制、の3つの側面に取組、食品ロスの2R推進に向けた社会的・情報的・科学的基盤を構築することを目的とする。具体的には、
①食品ロス削減の取組に協力頂ける市民・協力企業・協力団体を募集し、サポーターとして、岡山大学の学生等に重点的に参加を呼び掛ける
②期限が近い食品などの割引情報をネット上で広く共有する食品ロスマッチングシステムを開発する
③本年10月の食品ロス削減月間にシステムの実証実験を実施し、食品ロス・温室効果ガスの削減効果を検証する
本取組は5月より準備、協力企業の呼びかけを開始した。
取組効果・成果
食品ロス削減の取組に対して(株)岡山高島屋、岡山大学生活協同組合・ブックストア、生活協同組合おかやまコープ・東川原店、(株)天満屋ストア・ハピーズ津島店、(株)フレスタ・フレスタ津島店、両備ホールディングス(株)・森のマルシェ柳川店の6事業者・店舗から参加いただけることとなった。また、DS部の協力により、割引食品ライブ中継アプリ「のこり福」を開発し、上記6店舗における割引食品を10/8からライブ中継する運びとなった。本年10月の実証実験終了後、食品ロス・温室効果ガスの削減効果を検証する予定である。
SDGs達成への貢献度
本取り組みで開発したシステムにより、幅広い市民の方々にお買い得な割引食品の情報を見える化することを通じてその購入をサポートし、数多くの市民に参加いただくことによって売れ残り=食品ロス等を削減できることが期待される。また、データサイエンスを用いたシステム利用実績データの解析、利用者アンケート調査等を通じて食品ロス削減に役立つ知見を科学的に明らかにすることができるものと期待される。
また、岡山大学のDS部・環境部ECOLO・SDGsアンバサダーの3者が協働するとともに食品小売事業者6社の賛同を得られたことにより、事業系食品ロス削減の人的・組織的ネットワーク形成にも寄与できるものと考えている。キャンペーン終了後に賛同事業者の方々と情報の共有・意見交換を図り、食品ロス推進に向けた課題・解決策等の議論を深め、食品ロス削減・利活用の取り組みの定着・さらなる拡大を図ることを目指す。
新規価値創造性
①排出側の事業者だけでなく、利用側の団体・住民を巻き込んだ全員参加型の食品ロス削減ネットワークを形成し、特に低関与の若年層・大学生に重点的に協力を呼び掛ける点
②従来の食品ロスマッチングシステムは、食品製造業の規格外品・飲食店のテイクアウト等を主な対象としていたが、本活動では従来ほぼ対象外であったスーパー等食品小売業を対象にシステム構築を図ること
③岡山大学DS部との協働により、食品ロスのマッチングシステム開発だけでなく、データサイエンスを活用した食品ロスの2Rの推進を検討対象とする、学生主体の包括的な活動の枠組みであること
協働性
岡山大学のDS部・環境部エコロ・SDGsアンバサダーの3者が協働するとともに、食品小売事業者6社の賛同を得られたことにより、事業系食品ロス削減の人的・組織的ネットワーク形成にも寄与できるものと考えている。キャンペーン終了後に賛同事業者の方々と情報の共有・意見交換を図り、食品ロス推進に向けた課題・解決策等の議論を深め、食品ロス削減・利活用の取り組みの定着・さらなる拡大を図ることを目指す。
本取り組みでは特に岡山大学津島キャンパス近隣の天満屋ハピーズ津島店、フレスタ津島店の2店の協力を得ることができ、岡山大学の学生・教職員にとって身近に参加しやすい状況を整えたことにより、多くの参加を期待するものである。
持続可能性
本活動で実施する事業系食品ロス削減のネットワーク形成、食品ロスの需給マッチングに関する円滑な情報流通、データサイエンスを活用した食品ロス発生抑制、の取り組みにより、食品ロスの2R推進に向けた社会的・情報的・科学的基盤を構築し、継続的に取り組むことによってさらなる強化を図る。また、10月の実証事業を通じて実施上の課題を整理し、次年度以降の実施可能性を検討して成果を取りまとめる予定である。
包摂性
岡山大学の学生が本取り組みに参加することを通じて、SDGsの代表的課題である食品ロスの問題に対する理解を深めるとともに、問題解決に直接的に参加する社会実践の機会及びその改善策を考えるきっかけを提供することができるものと考えている。岡山大学におけるSDGs推進に対する学生の関与を強化する一つの契機となることを期待している。賛同事業者にとっては、食品ロス削減による廃棄物処理に係る費用や商品廃棄損の削減、システムの利用客による閉店前時間帯の誘客や同時購入の誘発等の効果が期待される。
環境面では食品の生産・流通を無駄にしないことにより、温室効果ガス等の削減に貢献することも期待される。本取り組みが報道機関に取り上げられることを通じて、食品ロス削減に対する社会的気運を高め、市民の参加意識を醸成することが期待される。割引食品の情報は食品ロスにあまり関心のない市民にとっても有用な情報と考えられることから、食品ロス削減に対する参加者のすそ野を広げることによってその効果を高めるとともに、そうした低関与の市民がSDGsに取り組む入口としての機能を果たすことを期待している。
◎本取組は
2022年度岡山大学SDGs推進表彰(President Award)優秀賞を受賞しています。取組発表会の様子は以下の動画でご覧ください。
令和4年度岡山大学SDGs推進表彰(President Award)取組発表会「岡山食品ロス削減プロジェクト『のこり福キャンペーン』」
割引食品ライブ中継アプリのイメージ1
割引食品ライブ中継アプリのイメージ2