社会的背景
自動運転車やドローンに代表される通信機能を搭載した電動モビリティなど、IoT時代のハードウェア設計は、電磁環境を考慮した設計、すなわち、EMC (Electromagnetic Compatibility)設計が不可欠です。意図しない電磁波(電磁ノイズ)を発せず、周囲や自身の発する電磁波に影響されず正常に動作するというEMC性能はユーザが当然期待しますが、その実現は容易ではありません。
活動の目的
ノイズ問題はテスト工程で顕在化します。システムテストでEMC性能を満足しないと、設計の手戻りやノイズ対策部品の追加が生じ、開発コストの上昇が生じます。設計・開発工程の初期段階におけるEMC設計の実現が目標です。
活動の概要
そのためにはノイズ発生メカニズムを明らかにし、設計で使用可能なモデルの構築が不可欠です。モデルを使ったシミュレーションにより発生する電磁ノイズを設計・開発工程の初期段階で予測できれば、システムテストでEMC性能を満足しない事態を避けることができます。最近では、電磁ノイズに含まれる暗号情報が解読されることによる情報漏えいの脅威が指摘されています。そのため、情報漏えいしにくいハードウェア設計を行うための評価指標の提案も行っています。
期待される効果
EMC設計による電気電子機器の開発は、開発や生産におけるエネルギー使用量の削減と、ノイズ対策部品削減による化学物質や有害廃棄物の低減に貢献します。手戻りのない設計の実現は、生産性の向上と働き方改革を推進します。
回路基板には電磁ノイズの発生源が多数存在
電磁ノイズ問題を本質的に解決するEMC設計
暗号情報の重畳した電磁ノイズが放出されると情報漏えいの脅威が発生