動物と藻類の共生はサンゴやクラゲなど様々な動物で見られる普遍的な生命現象で、ホストは共生藻に二酸化炭素や窒素源などの栄養を、共生藻はホストに酸素や光合成産物を与える相利共生の関係にある。これは、ホストの動物が排出した二酸化炭素を共生藻がブルーカーボンとして固定し、栄養としてホストに供給する効率的なカーボンニュートラルシステムとも言える。
岡山大学牛窓臨海実験所ではサンゴと同じ刺胞動物のグリーンヒドラや、瀬戸内海で大量に採集が可能な無腸動物ナイカイムチョウウズムシを用いて、動物ー藻類相互作用のゲノム進化、分子相互作用の解明を目指している。動物―藻類共生メカニズムの理解は、サンゴの白化現象のような環境問題への対策や藻類の産業利用などの基盤になることに加え、カーボンニュートラルの実現のためのモデルとなると期待できる。