被服は資源である。低価格で利用しやすいファスト・ファッションも一因となり、現在は衣料品の過剰供給と過剰保有の状態にある。人と環境にやさしいサスティナブル・ファッション、エシカル・ファッションをめざすならば、生活者が主体となる持続可能な衣生活を構築していくことが望まれる。
企業(製造者)が活用することが出来るLife Cycle Assessment (LCA) は存在するが、生活者(消費者)のためのLCAはない。そこで、生活者が自分の衣生活(被服の入手・着用・管理・処分)に伴う環境負荷やエネルギー消費などを客観的に定量し、評価することが出来るLife Cycle Inventory(LCI)シートを開発した。現在、本学の被服科学関係の講義を受講している学生を対象に、彼らが自分の衣生活を定量化し、課題を明確にし、それを改善していくための活動(active learning)に利用している。自分の衣生活の実態を客観的に数値で知ることが出来るため、自分の衣生活のどこに大きな負荷がかかっているのか、何が問題なのかを明らかにすることが可能となる。被服行動やライフスタイルの見直しを図る際の意思決定に役立てていくことが期待されるものである。