農業用水路トンネルは大規模な地震により損傷を受けることが指摘されており、南海トラフ地震が高い確率で発生する我が国では、耐震化が喫緊の課題となっている。大規模な地震による損傷は、平常時の地圧に地震によるせん断波が加わることで生じ、その発生場所は断層や破砕帯といった地質不良区間が多い。そのため、地質不良区間の地盤の正確な情報を得ることが重要となる。本研究では、宇宙線ミュー粒子探査を農業用水路トンネル周辺の地山に実施し、地盤の密度を求め、正確な地質不良区間の分布を得る。さらに、これらの情報を基に耐震補強を考慮した数値解析と模型実験を実施して地山とトンネル覆工の相互挙動を明らかにし、大規模地震の対策を評価することを目的とする。
これまでに、模型実験と数値解析により、せん断力が作用するトンネル覆工と地山の相互作用と、背面空洞の影響を明らかにしている。その際、地山に作用する載荷荷重を変化させて、覆工に作用する地圧の影響を確認した。並行して、ミュー粒子探査を実施し、密度と検出されたミュー粒子との関係を明白にした。
トンネル載荷実験
数値解析結果