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資源循環型社会の構築、地球温暖化対策やマイクロプラスチック問題などの喫緊な課題に対処するため、プラスチックの開発から廃棄までを再考する必要がある。
我々の研究グループでは、回収PETを原料としてより付加価値の高いプラスチックであるアラミドを調製するアップリサイクル技術を開発している。PETは飲料用ボトルに限らずポリエステル繊維やフィルム、成形品などとして私たちの生活で多量に使用されている。現在は、カスケード型マテリアルリサイクル、或いはケミカルリサイクルによってPET再生化が主流であるが、付加価値のより高高いプラスチックを創り出すことで、社会や自然への負担を低減できる。アラミドは、耐熱性、力学特性や化学安定性に優れた高性能プラスチックの代表であり、耐火服、防弾チョッキや各種ロープなど安全・安心を与える材料として広く利用されている。このアラミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸(その誘導体)を原料として製造されているが、回収PETと芳香族ジアミンを溶液中で反応させることでアラミドが結晶として調製できることを見出した。副生するエチレングリコールも回収できるために、原子効率の高い方法である。回収PETを原料として高付加価値プラスチックを調製する本研究成果は、プラスチック廃棄問題や資源循環型社会の構築に貢献する新しい技術を位置づけられる。
http://www.ecm.okayama-u.ac.jp/polymer/index.html