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地球上の様々な地域で人間活動や環境負荷の増大により自然環境の破壊が進み、土地が劣化している。特に、乾燥地域の生態系は降水量が少ない環境のもとに成立しており、いったん破壊されればその回復は非常に困難で遅い。そのため、持続的な生態系の維持のためには、水資源などの面で環境収容力を考慮した対策の構築が重要である。
乾燥地域に広く分布する種について水利用特性を明らかにすることにより、水消費が小さく水収支的に負荷の少ない緑化樹種の選定を進めている。なかでも中国の乾燥地域に広く分布するヒノキ科の常緑針葉樹Juniperus sabinaは、常緑性かつ匍匐性といった形態的な特徴から流砂固定の効果が非常に高いと考えられるが、それに加えて、長期に渡る無降雨条件下において、土壌表層の乾燥の緩和効果をもたらす独特の水利用特性(水の再分配)を有する可能性が、近年の我々の調査によって明らかになってきた。この特性により自らの水利用だけでなく他種の定着や成長にも正の効果がもたらされることが予想されることから、本種による被覆が現地における植物群落の構造や植物種の多様性に与える影響ならびに生態系修復の可能性について評価、検討を進めている。
中国の乾燥地域に自生するヒノキ科の常緑針葉樹 (Juniperus sabina)
その匍匐枝から出た不定根 土壌表層の乾燥の緩和効果をもたらす独特の水利用特性 (水の再分配)に重要な役割をもつ
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