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気候変動対策や生態系サービスの維持に向けた施策として、自然を経済活動に必要な資本(自然資本)とみなし、その主な管理者である住民―自然とともに生きる貧しい人々―に成果ベースの支払をすることで、自然の保全と住民の貧困削減の双方に貢献するという金融手法(PES)が多くの途上国で実施されている。しかし、事業の実施過程で自然へのアクセス権が軽視されたり、支払が不十分・不公平であったり、事業をめぐる混乱に巻き込まれるなど、貧しい人々が様々なリスクにさらされることも多い。この場合、交渉力の弱い彼らの多くは泣き寝入りせざるをえない。
ベトナムとインドネシアにおいて、PES関連事業で自然が自然資本として構築される過程を明らかにし、自然資本の維持に貢献する貧しい人々に不利益が生じないよう、現地研究者やNGOと共同で監視し情報発信する。また、ドローン等を用いたコミュニティ・マッピング(住民主導の地図作成)手法や交渉戦略を開発して住民の交渉力を強化し、Bottom Upの自然資本構築による貧困削減を支援する。
ベトナムでは自然資本の構築過程の調査を既にある程度進めてきた。今後は同様の調査をインドネシアでも実施し、両国でコミュニティ・マッピング手法や交渉戦略を共同開発する。貧しい人々が自らのために自然資本を「共創」する能力の向上に貢献することが期待できる。
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