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本学研究推進機構は1月30日、「第75回SDGs岡大サイエンスカフェ」を創立五十周年記念館で開催しました。
本学では、2006年から本学の研究者が最新の科学を分かりやすく解説する「岡大サイエンスカフェ」を10年以上にわたって開催。現在では、毎回100人を超える来場者でにぎわう人気イベントとなっています。75回目となる今回は、前回に引き続き、「SDGs岡大サイエンスカフェ」と題し、SDGsに関連し、かつ市民の方の関心が高いと考えられるテーマを取り上げ、また、より多くの研究に触れていただくため、2部構成で開催しました。
第1部は、「これからの移動手段を考える ― エンジン熱効率向上の取組を加えて ―」をテーマとし、本学自然科学研究科の河原伸幸研究教授が登壇。地球温暖化には温室効果ガスの排出量が影響しており、気温上昇を抑制するためには温室効果ガスの排出量が少ないEV(電気自動車)へのシフトが一定の役割を果たすとしつつも、「それによって全ての課題が解決できるわけではなく、発電の際に排出される温室効果ガスの量をいかに少なくするかが重要」と強調。温室効果ガスを排出しない水素を燃料とした発電装置に大きな期待がかかっていると解説しました。今後重要となる物流システムの効率化に向け、自身がエンジン熱効率の向上に関する研究に取り組んでいることや、豊かな光と水に恵まれた岡山県を再生可能エネルギー活用のモデル地域とする「岡山知恵とエネルギーネットワーク構想」を立て、本学を拠点とする地域のエネルギーモデル構築に取り組んでいることも紹介しました。
第2部は、「未来の酵母は何をもたらすのか?」と題して、本学環境生命科学研究科の守屋央朗准教授が講演。守屋准教授は「パンやアルコールの発酵に使われる酵母は多量に存在し、人体にも無害で、かつ国家にも例えることができるほどさまざまな器官を備えているため、昔から遺伝子の研究に使われている」と説明。現在では9割近くの遺伝子の機能が分かっていることや、酵母は外来の遺伝子を入れると他の遺伝子とつながる「組み換え」がとても起きやすい性質を持つため、酵母のゲノムを人間が設計・合成したDNAで作り変えるプロジェクトが世界中で盛んに行われていることを紹介しました。既にそれらのプロジェクトから、DNAを作り変え、抗マラリア薬やビールの苦み成分を増す化合物を作り出す酵母などが生み出されており、守屋准教授自身も環境に強い酵母を作り出すプロジェクトに挑んでいると話し、「未来の酵母」には新しい医薬品や食べ物などを生み出す多くの可能性が秘められていると結びました。
講演には一般の方や本学学生、高校生など約160人が参加し、興味深げに耳を傾けていました。
○今回も前回と同様、会場に「学都基金」の募金箱を設置し、ご寄付を募りましたところ、多数の方からご寄付をいただき、募金総額は6,140円となりました。ご協力いただきまして、誠にありがとうございました。心より厚く御礼申し上げます。
皆様からお寄せいただきましたご厚意は、SDGs推進に資する教育プログラム、研究プロジェクト、社会貢献活動への支援等に使わせていただきます。
○次回のサイエンスカフェもSDGsに関連した内容とし、第1部「ゲノム編集技術で大麦種子の発芽を制御する」、第2部「ゲノム医療従事者の養成とゲノム医療の普及」をテーマとして、2020年4月21日(火)18時から開催します。
参加を希望される方はこちらからお申し込みください。
【参考】
●岡山大学×SDGs
●岡山知恵とネットワークエネルギー構想(岡山大学×SDGs取組事例HP)
●発電用バイオマスガスエンジンの燃焼(岡山大学×SDGs取組事例HP)
●酵母細胞の理解とその機能のコントロール(岡山大学×SDGs取組事例HP)
研究推進機構
TEL:086-251-7112