本学研究推進機構は11月8日、「第74回SDGs岡大サイエンスカフェ」を本学創立五十周年記念館で開催しました。
本学では、2006年から本学の研究者が最新の科学を分かりやすく解説する「岡大サイエンスカフェ」を10年以上にわたって開催。現在では、毎回100人を超える来場者でにぎわう人気イベントとなっています。74回目となる今回は、「SDGs岡大サイエンスカフェ」と題し、SDGsに関連し、かつ市民の方の関心が高いと考えられるテーマを取り上げ、また、より多くの研究に触れていただくため、初の2部構成で開催しました。
第1部は、『気候変動下で頻発する水害への対応を考える』をテーマとし、本学環境生命科学研究科の吉田 圭介准教授が登壇。水害の種類とメカニズムについて、河川堤防決壊の例などをもとに解説し、近年水害が頻発しているのは、地球温暖化など気候変動が影響している可能性があると話しました。また、平成30年西日本豪雨で被害が拡大した原因として、市民の避難行動の遅れを指摘。「洪水・土砂災害から命を守るためには、災害を我がことと捉え、早めの避難行動を心がけることや、普段からハザードマップなどを確認し、地理的なリスクを理解しておくことなどが必要」と呼びかけました。
第2部は、『世界を変える「バイオバンク」-「岡大バイオバンク」と医学・創薬研究を支える基盤の明日-』と題して、本学ヘルスシステム統合科学研究科の森田瑞樹教授が講演。創薬などの研究開発では、動物を対象にした基礎研究とヒトを対象にした臨床研究とのギャップや、動物実験の世界的な禁止傾向などの課題に直面していることを説明。そうした状況の中で、血液、尿などいわゆる「ヒトの生体試料」を治療や検査の記録などとあわせて集め、保管・管理し、研究に活用する「バイオバンク」が注目されており、本学でも2015年から岡山大学病院の施設の一つとして「岡山大学病院バイオバンク(通称:岡大バイオバンク)」を運営していることを紹介しました。民間企業も利用しやすいようにしている点や、自らを「生体試料利用に関する支援を行う部門」と定義し、生体試料の保管にとどまらず解析の支援なども行っている点に特徴があり、既に多くの成果を挙げていることなどを話しました。
講演には一般の方や本学学生、高校生など約140人が参加し、興味深げに耳を傾けていました。
○会場に「学都基金」の募金箱を設置し、ご寄付を募りましたところ、多数の方からご寄付をいただき、募金総額は20,507円となりました。ご協力いただきまして、誠にありがとうございました。心より厚く御礼申し上げます。
皆様からお寄せいただきましたご厚意は、SDGs推進に資する教育プログラム、研究プロジェクト、社会貢献活動への支援等に使わせていただきます。
○次回のサイエンスカフェもSDGsに関連した内容とし、第1部「これからの移動手段を考える ―エンジン熱効率向上の取組を加えて―」、第2部「未来の酵母は何をもたらすのか?」をテーマとして、2020年1月30日(木)18時から開催します。
参加を希望される方はこちらからお申し込みください。
【参考】
●気候変動下で頻発する水害から命を守る防災研究(岡山大学×SDGs取組事例HP)
●岡山県ハザードマップ(岡山県HP)
●医学・創薬研究を支える持続的な基盤としてのバイオバンクの確立(岡山大学×SDGs取組事例HP)
●岡山大学バイオバンク
●岡山大学 学都基金
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