検索例
日本は海で囲まれた海洋立国であり、海洋の環境変動や生物分布の観測記録は、自然環境保全のみならず漁業や資源開発など産業の基盤となる。近年では生物の遺伝情報を用いた観測、例えば海水中の微量DNAから生物を迅速に検出する環境DNA解析などが、生物分布のモニタリングの有効なツールになっている。このようなデータを集め、海水成分や海流のデータと統合することで、生物動態や環境汚染の全体像を把握することが可能になる。
国立大学の臨海実験所は日本全域に立地しており、全生物によるCO2固定の60%とされるブルーカーボンに重要な近海域を網羅する観測地点として最適である。また、観測データの解析には生物学と情報学の両方からのアプローチが必要であり、そのためのコミュニティ形成や人材育成が重要である。
岡山大学ではこのような研究基盤形成のため、国立遺伝研や複数の臨海実験所と連携し、日本近海生命観測ネットワークの構築に取り組んでいる。現在、瀬戸内海での比較的小規模な系を利用し、観測・実験系の確立を行なっている。また、人材交流を超分野的に進めるため、公開臨海実習やハンズオン合宿実習 “臨海Hackathon” では、第三世代シークエンサーを用いたゲノム解読、環境DNA解析等をテーマとした講義と実習を行い、最新の解析手法を学びつつ様々な分野の研究者と交流を深めている。
https://sites.google.com/view/rinkaihack/home/about